技能実習生・特定技能外国人を雇用すると助成金がもらえる?よくある誤解と活用できる制度を解説
2026/09/24
外国人技能実習生や特定技能外国人の採用を検討している企業様からすると、
「外国人を雇用すると、国から助成金がもらえるの?」
という点は気になるところではないでしょうか。
インターネットで検索すると、
「外国人雇用で最大○万円」
「外国人を雇う企業が使える助成金」
といった情報も見つかります。
こうした情報だけを見ると、
「技能実習生を採用すれば助成金がもらえる」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、ここには注意が必要です。
結論から申し上げると、
技能実習生や特定技能外国人を雇用したという理由だけで、自動的に助成金が支給されるわけではありません。
一方で、外国人労働者の就労環境を整備する企業を対象とした助成制度や、外国人・日本人を問わず一定の条件を満たす企業が利用できる雇用関係助成金は存在します。
今回は「外国人技能実習生賃貸ナビ」を運営する弊社レジスタが、外国人材を雇用する企業様に知っていただきたい助成金の基本と、よくある誤解について解説します。
※本記事は2026年9月21日時点の厚生労働省公表情報をもとに作成しています。助成制度は改正されることがありますので、実際の申請時には厚生労働省、管轄労働局・ハローワーク、社会保険労務士等へ最新情報をご確認ください。
誤解①「外国人を1人雇えば○万円もらえる」
まず、最も注意したい誤解です。
外国人を採用したこと自体に対して、
「外国人1人につき○万円」
と一律に支給されるわけではありません。
現在、外国人材を雇用する企業に特に関係する制度として、
人材確保等支援助成金
「外国人労働者就労環境整備助成コース」
があります。
しかし、この制度の目的は外国人の採用そのものを助成することではありません。
厚生労働省は、言語の違いなど外国人特有の事情に配慮した就労環境を整備し、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主を助成する制度としています。
つまり、
外国人を採用したから助成する
のではなく、
外国人材が働きやすく、定着しやすい職場環境を整備する企業を支援する
という考え方です。
誤解②「技能実習生専用の助成金である」
これも誤解しやすいポイントです。
「外国人労働者就労環境整備助成コース」という名称から、
「技能実習生だけが対象?」
「特定技能外国人は対象外?」
と思われるかもしれません。
厚生労働省が示す主な要件は、
外国人労働者を雇用している事業主であること
です。技能実習生だけを対象とした制度として案内されているわけではありません。
そのため、特定技能外国人などを雇用している企業についても、その他の要件を満たすのであれば確認する価値があります。
もちろん、在留資格だけで対象可否が決まるわけではありません。
■では、最大80万円の助成金とは?
2026年9月21日時点で厚生労働省が公表している令和8年度の「外国人労働者就労環境整備助成コース」では、一定の要件を満たした場合、
1制度導入につき20万円
上限80万円
が支給されます。
対象となる就労環境整備措置は次の5つです。
① 雇用労務責任者の選任
外国人労働者の雇用労務に関する責任者を選任します。
② 就業規則等の多言語化
外国人労働者が理解できる言語へ就業規則等を多言語化します。
③ 苦情・相談体制の整備
外国人労働者が仕事上の問題などを相談できる体制を整えます。
④ 一時帰国のための休暇制度の整備
外国人労働者が一時帰国するための休暇制度を整えます。
⑤ 社内マニュアル・標識類等の多言語化
業務マニュアルや社内標識などを外国人労働者が理解できるよう多言語化します。
令和8年度制度では①と②を導入したうえで、③~⑤のいずれかを選択し、新たに導入・実施することなどが要件です。
また、計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が15%以下であることなど、ほかにも受給要件があります。
誤解③「最大80万円=必ず80万円もらえる」
広告などで、
「外国人雇用で最大80万円」
という部分だけを見ると、80万円がそのまま支給されるように感じるかもしれません。
しかし、あくまで最大額です。
令和8年度制度では、1制度導入につき20万円で、上限が80万円です。
また、助成金には外国人労働者の離職率をはじめとする要件があります。
したがって、
「外国人を雇っている=80万円受給できる」
という理解は避けるべきです。
自社が対象となるか、どの措置を導入できるかを事前に確認する必要があります。
誤解④「外国人を採用してから申請すればいい」
助成金について弊社が特にお伝えしたいのが、
「順番が重要」
ということです。
この助成金では、まず就労環境整備計画を作成・提出し、認定された計画に基づいて対象措置を導入・実施します。
厚生労働省の令和8年度ガイドでは、基本的に、
① 就労環境整備計画の作成・提出
↓
② 就労環境整備措置の導入
↓
③ 措置の実施
↓
④ 実施日の翌日から6か月間の算定期間
↓
⑤ 支給申請
↓
⑥ 支給
という流れです。
計画についても、就労環境整備計画期間の開始日の1か月前の日までに提出する必要があります。
例えば、
「外国人社員を採用したので就業規則を翻訳した」
「社内マニュアルも外国語にした」
「全部終わってから助成金があることを知った」
という順番では、想定していた制度利用ができない可能性があります。
だからこそ、
外国人材の採用が具体化した段階で助成制度について確認する
ことが重要です。
誤解⑤「社宅や家具家電にも80万円使える」
弊社は不動産会社ですので、ここも明確にしておきたいポイントです。
外国人材を採用する企業では、
社宅の敷金・礼金
毎月の家賃
家具・家電
寝具
生活用品
など、住まいに関する費用も発生します。
しかし、今回の外国人労働者就労環境整備助成コースを、
「外国人社員の社宅を借りるための助成金」
と考えるのは適切ではありません。
厚生労働省が支給対象経費として示しているのは、一定の条件のもとで、対象となる就労環境整備措置に要する通訳費、翻訳機器導入費、翻訳料、弁護士・社会保険労務士等への委託料、多言語標識類の設置・改修費などです。
通常の社宅家賃や家具家電代をそのまま補助する制度ではありません。
雇用環境整備と住環境整備は分けて考える必要があります。
■外国人専用ではない助成金も確認しましょう
外国人材を雇用する企業が確認できる制度は、外国人労働者就労環境整備助成コースだけではありません。
ここで重要なのは、
「外国人だから対象」ではなく、企業の取り組みや労働者の雇用条件などによって対象になる可能性がある制度もある
ということです。
例えば代表的なものに、次のような制度があります。
キャリアアップ助成金
非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善など一定の取り組みを行った事業主を助成する制度です。
令和8年度についても厚生労働省からパンフレットやQ&Aが公開されています。
対象となるかどうかは、在留資格だけではなく雇用形態や実施する取り組みなどを確認する必要があります。
人材開発支援助成金
従業員へ職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練等を行う企業を支援する制度です。
令和8年度は「人材育成支援コース」「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」など7コースが設けられています。
外国人専用制度ではありませんが、外国人材を含む従業員への教育・訓練を検討している企業であれば、対象要件を確認する価値があります。
つまり、
「外国人向け助成金」だけを探すのではなく、自社が行う雇用・教育・処遇改善に使える制度がないか
という視点も重要です。
誤解⑥「監理団体や登録支援機関が全部教えてくれる」
技能実習生や特定技能外国人を受け入れる企業では、
「監理団体に任せているから大丈夫」
「登録支援機関が教えてくれるだろう」
と思われることもあるかもしれません。
もちろん、外国人材の受け入れを支援する各機関から有益な情報を得られることはあります。
一方で、助成金には企業の雇用状況、就業規則、雇用保険、賃金、教育訓練などさまざまな条件が関係します。
そのため、
助成金・労務については社会保険労務士などの専門家へ確認する
というルートも持っておくと安心です。
「誰かが教えてくれるだろう」と考えるのではなく、採用が具体化した時点で一度確認しておくことをおすすめします。
社労士へ相談する場合は費用も確認
助成金申請について社会保険労務士へ依頼する場合、報酬が発生することがあります。
事務所によって、
着手金
成功報酬
月額顧問料
スポット相談料
など料金体系は異なります。
そのため、
「最大80万円だから80万円得をする」
と考えるのではなく、
受給見込額・専門家報酬・自社で必要となる費用を含めて検討する
ことが重要です。
弊社レジスタでも外国人材雇用に関する助成金について社会保険労務士との情報交換を進めており、ご希望があれば専門家をご紹介することも可能です。
助成金と同じタイミングで「社宅」も確認しましょう
外国人材を採用するとき、助成金と並行して早めに考えていただきたいのが住まいです。
海外から日本へ来る外国人材の場合、
「どこに住む?」
という問題を避けることはできません。
企業側で、
1R・1Kを1人1室で用意するのか
複数人で入居するのか
法人契約にするのか
家具家電はどうするのか
勤務先までどう通勤するのか
などを決める必要があります。
弊社が最近ご相談を受ける中では、外国人社員のプライバシーや福利厚生を考え、
「1R・1Kを1人1室で用意したい」
という企業様も見られます。
外国人材の採用が決まってから入居直前に探すよりも、採用人数や勤務地が見えてきた段階から不動産会社へ相談しておく方が、選択肢を確保しやすくなります。
助成金と社宅には共通点があります
一見すると、
助成金=労務の話
社宅=不動産の話
で、まったく違うように思えます。
しかし実務では大きな共通点があります。
それは、
「早めに確認するほど準備しやすい」
ということです。
助成金は、対象となる取り組みを先に進めてしまうと利用できない可能性があります。
社宅は、入居直前になればなるほど希望条件に合う物件を確保しにくくなる場合があります。
だからこそ外国人材の採用が具体化したら、
助成金・労務について専門家へ相談する
+
社宅について不動産会社へ相談する
という2つを早めに進めることをおすすめします。
2027年4月から育成就労制度へ
2027年4月1日からは、技能実習制度に代わって育成就労制度がスタートする予定です。
外国人材の受け入れを考える企業にとって、これから重要になるのは、
「採用できるか」だけでなく「働き続けてもらえる環境を整えられるか」
という視点です。
今回ご紹介した外国人労働者就労環境整備助成コースも、外国人材の職場定着を目的とした制度です。
就業規則や相談体制といった働く環境。
社宅や生活環境といった暮らす環境。
この両方を早い段階から準備することが、外国人材の受け入れを考える企業には重要ではないでしょうか。
「外国人を雇えば助成金」ではなく、まず対象制度を確認
最後に、今回のポイントを整理します。
外国人を雇用しただけで助成金が自動的に支給されるわけではありません。
しかし、
「外国人だから助成制度は関係ない」
というわけでもありません。
外国人労働者の就労環境整備を対象とした制度がありますし、企業の取り組み次第ではキャリアアップ助成金や人材開発支援助成金など、外国人専用ではない制度を検討できる場合もあります。
重要なのは、
「外国人を雇ったらいくらもらえる?」
ではなく、
「外国人材を受け入れるために自社がこれから行う取り組みに、利用できる制度はある?」
と考えることです。
そして、実際に取り組みを始める前に確認してください。
外国人材の「働く環境」と「暮らす環境」を早めに準備
弊社レジスタでは「外国人技能実習生賃貸ナビ」を運営し、外国人技能実習生・特定技能外国人などを受け入れる企業様の社宅探しをサポートしています。
東京都および東京寄りの埼玉県・千葉県・神奈川県を中心に、
- 1R・1Kへの1人入居
- 複数人入居
- 法人契約・社宅契約
- 複数戸の同時契約
- 戸建住宅
- 社員寮
- 一棟借り
- 勤務先から通勤しやすいエリア選定
などをご相談いただけます。
また、助成金について確認したい企業様には、必要に応じて社会保険労務士をご紹介することも可能です。
まだ、
「採用人数が確定していない」
「入国時期が数か月先」
「助成金の対象になるか分からない」
「社宅を1人1室にするか決めていない」
という段階でも構いません。
外国人材の採用が具体化したら、助成金と社宅を同じタイミングで確認する。
外国人材の受け入れ準備の一つとして、ぜひ覚えておいていただければと思います。
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